About

— 津軽塗り

工芸の世界や漆のことを何も知らないまま津軽塗りの道に飛び込みましたが、多くのご縁に恵まれ、今日まで歩んでくることができました。
この仕事を始めてからというもの、不思議な出会いや運命的とも思える巡り合わせがいくつもあり、津軽塗りに携わることは私にとって「偶然」ではなく「必然」であったのだと感じています。
従来の「古くさい」というイメージを払拭し、この塗りの持つ多様な可能性を私なりに表現しながら、作品を通して多くの方と出会えることを、何よりの喜びとしています。
ご縁が続く限り、この仕事に携わり続けたい。そして、日本文化の一つである「津軽塗り」の本当の魅力が、より多くの方に届くことを心から願っています。
— 塗師 牧野浩子

— 牧門堂の由来

四代藩主・津軽信政公は、山鹿素行の兵法を取り入れるため、素行の弟子であった私の先祖・牧野伴右衛門を江戸より召し抱えました。
その後、伴右衛門の子孫である牧野佐次郎が、津軽の地で山鹿流兵法の指南所「牧門堂」を開きました。
山鹿素行や先祖たちが受け継いできた「武士道精神」に思いを寄せ、その精神を漆の作品にも込めたい──。
そうした思いから、私は指南所の名を受け継ぎ、漆工房の名を「牧門堂」といたしました。

— 略歴

東京都世田谷区生まれ。
文化服装学院卒業後、イギリスとイタリアで過ごす。
平成9年に単身で弘前へ移り住み、津軽塗りを学ぶ。元青森県工業試験場員・藤田清正氏に師事。
平成14年に東京へ戻り、「漆工房 牧門堂」を設立。
現在は世田谷区に工房を構え、制作活動を続けている。